研究概要 |
本研究の日的とそのための研究内容は以下の3点に要約される。1.動詞句内の依存詞並べ替えが、インターフェイス、特に音声形式(PF)制約と、統語的制約の両方を受けていることを、日英語以外の言語、特に音韻論的には英語に近く、統語論的には日本語に近いドイツ語やオランダ語で検証する。2.語順を律すると考えられている統語的な原理(例えば主要部パラメターや格付与の方向性)が、インターフェイス制約からどの程度導かれるか、主に英語と日本語の資料や先行研究をもとに(再)分析し考察する。3.1,2の分析・考察結果が、言語機能の構造とその一般認知体系における位置付けの解明に貢献することを示す。 平成21年度は、関連分野(特に音と統語のインターフェイス)の研究者との交流を続けながらこれまでの研究の成果をまとめ、平成22年3月に書籍Derivational Linearization at the Syntax-Prosody Interfaceとしてひつじ書房より刊行した。書籍を、その内容に関してこれまでに実質的な助言をくださった研究者たち(例えばColin Phillips博士、John Hawkins博士、Henry Davis博士、時崎博士、土橋博士など)に献呈することにより、これまでの助言に対する謝意を伝えるとともに、今後の研究発展のためのさらなるフィードバックを得ることを試みた。また、今後上記1~3について研究内容をさらに発展させるため、3月には京都での生物言語学・進化言語学に関するワークショップを聴講した。
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