研究概要 |
平成21年度は,前年度から継続して行っているメタファーの検出と分析に加え,新たな取り組みとして類義語の語法・意味研究を行った.昨年度まで使用していた新聞アーカイブ・コーパスに加えて,今年度はSketch Engineと呼ばれるコーパス検索・分析ツールの様々な機能を用い,それぞれの語の共起語や文法パタンを分析し,2語間での共通点・相違点を探った.また,前年度課題として残された,アメリカ英語のデータ補強対策としては,新たにUSA TodayとWashington Postを検索アーカイブに加えた. メタファー研究や語の意味を扱う分析では,用法の検出がコンピュータによる自動化されたプロセスでは不可能なため,設定した語彙を検索した後,研究者自身でメタファー用法であるかなどの判断をする必要があり,時間を要するが,Sketch Engineの使用により,使用されるパタンの表示が容易に行えるようになり,意味の見極めが効率的に行えるようになった. 類語研究のケーススタディとしては,terrorとterrorismを取り上げ,新聞アーカイブを遡って検索し,年代ごとに分析することによって,2001年「対テロ戦争」開始以前と以降で使用頻度,使用される意味が大きく異なること,war on terrorとwar on terrorismの使用ピークの違い,英米紙で使用の傾向が異なること,近年急速にterrorの意味・用法がterrorismに類似してきていることなどを,年代を追って解明した.
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