1.会話データの収集 本研究は留学生と日本人学生の雑談をデータとし、両者の会話行動を分析することによって、どんな会話行動が両者の親密化を促進・阻害するのかを明らかにしようとするものである。そのため平成19年度は、調査の基礎となる会話データの収集を行った。データは以下の5種類で、それぞれ約20分の雑談の録音である。どの組も、会話参加者同士の学年は同じになるようにした。留学生の母語や生活背景の影響を考慮し、対象留学生は中国人学部生に限定した。 (1)友人作りに成功していない留学生と初対面の日本人学生の会話(9組) (2)友人作りに成功している留学生と初対面の日本人学生の会話(9組) (3)友人作りに成功している留学生とその友人である日本人学生の会話(4組) (4)初対面の日本人学生同士の会話(10組) (5)友人関係にある日本人学生同士の会話(10組) 平成20年度は、(4)と(5)のデータと、(1)、(2)、(3)を比べることによって、友人作りに成功している留学生とそうでない留学生の会話行動の相違を明らかにする。また日本人学生の側が、留学生との会話で、どのように自らの行動を変えるのかも考察する。 2.日本人学生、留学生へのインタビュー調査 会話に参加した日本人学生と留学生に対し、個別インタビューを行った。会話録音の約1週間後に、会話参加者自身に録音会話を聞いてもらい、会話時の意識について話してもらった。 平成20年度は、このインタビューにおける会話参加者のコメントを内容分析する予定である。会話相手に対する好意的評価と非好意的評価に分類し、さらにその下位項目をたてることによって、両者の親密化を促進・阻害する要因を明らかにする。
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