初年度である平成19年度は「日本人英語学習者の派生接辞付き英単語の認知に関する研究」を実際に行う前段階として、実験環境の整備及び予備的実験を行った。具体的には、以下の通りである。 1)文献研究 主に心的辞書研究が進んでいるオランダおよび英語を第一言語とする人々を対象にした文献を収集した。特に、形態素の心的処理に関する実験研究を中心に収集することで、具体的な実験デザインの構想に役立てた。 2)心的辞書における形態素処理を測定する機器類の選定と購入 文字呈示及び音声呈示を簡便に行うことが可能であり、さらに、ミリ秒単位で反応速度が測定できる機器の選定を行った。また、反応時間を正確に測定する反応パッドなども購入した。これらの機器を購入したことで、次年度以降に予定していた予備実験が可能となった。 3)予備実験及び論文作成・学会発表 30名程度の日本人英語学習者を対象とした予備実験を行った。目的は、機器類の精度確認と実験手順の確認である。それぞれ確認ができ、さらに、興味深いデータを得ることができたので、「日本人英語学習者の名詞単数形認識における頻度効果一表層頻度と累積頻度一」として論文を提出し、山形大学大学院社会文化システム研究科紀要に掲載された。また、「日本人英語学習者はどのように心的辞書に語彙を貯蔵しているのか?一派生語尾辞付き語の貯蔵一」として言語科学会第9回年次国際大会において研究発表を行った。 以上の1〜3を基に、次年度、本実験を実施する予定である。
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