研究の2年目である平成20年度の研究の目的は、次の2つであった。(1)インプット処理理論を含む第2言語習得における注意に関する資料の収集を継続的に行い、理論的な整理を補充すること、(2)意味と形式の注意配分が英語リスニングの意味理解に与える影響に関する実証研究の成果を学会発表及び論文発表することである。 (1) に関しては、研究課題に関する国内外の研究論文及び図書を収集して文献研究を行うとともに、2008年10月アメリカ合衆国ハワイ大学で行われた「2008年度第2言語研究学会(Second Language Research Forum 2008)」に参加し、特にRichard SchmidtやBill VanPattenなどの第2言語習得における注意の研究者による講演や研究発表から、注意研究の資料を収集した (2) に関しては、初年度に実施した実験データの分析を行った。主な研究結果は、文法形態素への注意配分は先行研究の結果と同様に意味理解を阻害すること、また、言語形式への注意配分といっても、文の数を数えさせるという統語的特徴への注意配分は文法形態素への注意配分ほど意味理解を阻害しないことである。この結果を「形式への注意配分がL2リスニングに与える影響(The influence of attention to form in L2 listening comprehension」という題目で研究論文としてまとめている。平成21年度の終了時点で、論文の校閲などを行い、完成に努めているところである。平成21年度の学会にて、発表する予定である。
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