研究課題
英語の発話の分析では、流暢さ・正確さ・統語的複雑さ・語彙的複雑さの4側面から「談話分析的指標」を用いることが多い。談話分析的指標とは、談話の中で起こる特定の言語特性を数えて算出する指標で、流暢さなど、スピーキングの中の1側面を見る場合でも、様々な指標が存在する。これらの指標は、第二言語習得研究で頻繁に用いられているにもかかわらず、それぞれの指標にはどのような特徴があり、どんな場合にどの指標を用いるべきかについては、あまり議論されていない。また、先行研究において、指標の特徴を扱った研究はわずかながらあるが、包括的とは言いがたく、扱われた観点が限定されており、かつ検討している指標の数が限られているという問題点があり、包括的な枠組みから検討した研究は知る限りない。本研究は、複数の指標の特徴を包括的に探る実証研究である。1年目においては、指標を用いた先行研究を概観するために、先行研究の情報収集とまとめを行った。さらに、今後の分析の方向性を探るために、語彙的複雑さの指標について、既存の発話データの一部を複数の指標で再分析し、各指標の特徴を記述した。具体的には、日本人中高生のモノローグにおいては、以下が示された。Type token ratioについては先行研究の結果と同じく、発話語数によって影響を受け、語数が多いと低くなること。Dについては、発話語数とは独立して測れるが、50語以上の発話が必要で短い発話を評価するのには適さないこと。Guiraud indexについては、発話語数が多いと高くなる傾向があるため問題だが、Dとの相関が中程度あり、ある程度は似た要素が測れており、Dが出せない50語未満の場合でも算出可能なため有効な場合があること。今後は更に多くの観点で多くの発話を再分析し、より精密な特徴の記述を目指していく。
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『大学英語教育学会関東支部 2007年度研究年報』 4
ページ: 38-41.
Annual Review of English Language Education in Japan 18
ページ: 81-90.