研究概要 |
Swain(1993)のアウトプット仮説では,言語学習において「話したいことが話せない」場合や「話していることが正しいかどうかわからない」というギャップを感じる時に学習に結びつくという仮説を立てている。このプロジェクトは,学習者がこの「ギャップの意識」や「正しいかどうか自分なりに仮説を立てて試す(以下,仮説テスト)」という過程を経て,暗示的なフィードバック(リキャスト)を受けた場合に効果があると仮説を立て,検証することを目的としている。 この仮説を検証するために,平成19年度次のような実験を行った。 調査対象者を日本の大学生15名を集め,次の3つのグループに分けた。(1)タスクにより「ギャップの意識」「仮説テスト」があった場合にリキャストを行うグループ(3名)(2)タスクにより「ギャップの意識」「仮説テスト」があった場合に,その内容とは関係のないリキャストを行うグループ(5名)(3)タスクにより「ギャップの意識」「仮説テスト」があった場合にリキャストを行わないグループ(7名)である。 上記の3つのグループを対象に,本研究の説明,Sheppard(2006)で使用した英語の発話タスクA(英語で説明してもらうナラティブ)を行い,音声と映像を収録した。 その後,次のような再生刺激法でインタビューを行った。LCDスクリーンで,発話時にポーズや言い直し,視線の移動など,言語発話プロセスを意識していると考えられる時に画面で一時停止し,「その時に何を考えていたか」を問い,「ギャップの意識」「仮説テスト」の内容を引き出した。このインタビュー後,同じ発話タスクAの2回目調査を行い,音声を収録した。 2週間後に同じ発話タスクAの3回目と同じような形式で内容の異なる発話タスクBを行い,音声を録音した。 現在,この音声データ及び映像データをコンピュータに取り込み,インタビュー内容とタスクABの文字起こしを行っている。
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