研究課題
本研究では、音響学、教育評価・測定、英語教育の知見を取り入れ、主観的な評価と客観的に測定できる特徴量の両面から英語学習者の音読における発音・韻律を捉え、それらの値を付与した英語学習者の音声データベースを作成するための基礎的な研究を行う。対象とする英語学習者は日本人であるが、多くアジアの英語学習者からデータを収集した。昨年度は111名の英語学習者から音読データを収集した。すべてのデータはCEFに基づいて訓練された6名の教師により評価値が付与され、項目応答理論に基づいて分析を行った。今年度は、この評価値が付与された音読データの公開を準備するために、学習者の音読における発音・韻律の客観的測定値を検討する。前年度に収集したデータを評定者が評価し、そのデータを応答理論、一般化可能性理論、ニューラルテスト理論を用いて、分析した。その結果、信頼性においては、評定者の訓練が効果をもたらしていることが分かり、また、学習者へのフィードバックという観点からニューラルテスト理論を利用し、段階別のアドバイス文を作成した。項目応答理論を利用した分析では、評価項目の分析を行い、不良項目を削除し、信頼性、一貫性の高い項目群を作成した。前年度に収集したデータはHidden Markov Model Toolkitを利用し音素アライメントを行い、客観的測定値を算出し、主観的評価値との関係を調べた。客観的測定値は学習者の音読における時間制御の特徴を検討し、リズムに関する指標、読む速さにする指が最も良く主観的評価値を予測することが分かった。今年度の成果は第13回環太平洋応用言語学会、9th Distance Learning and Internet Conferenceで発表し、また、収集されたデータはWebサイトで公開した。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)
Proceedings of 9th APRU Distance Learning and the Internet Conference--New Directions for Inter-institutional Collaboration : Assessment & Evaluation in Cyber Learning
ページ: 207-212
Proceedings of the 13th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics
ページ: 85-86
http://www.yusukekondo.com/data.html