本研究では、現代国際社会の縮図とも言うべき古代ローマ帝国時代、その領域内における諸言語の存在に焦点を当て、また特に帝国西部地方のラテン語化に注目して考察を進めてきた。その中でこれまで我が国ではほとんど等閑に付されてきた、古典語(ラテン・ギリシア)以外の言語の存在についての認識を深め、大学等研究機関における講義などを通じそれに関する情報を発信し、また特にグローフザンクの陶工文書、及びバースの「呪詛板」文書といった、本研究課題に関わり、そしてこれまで我が国において紹介されたことのなかった文書群を初めて取り上げて研究したことは、我が国の古代ローマ時代研究史の中で画期的なことであった。
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