本年度は、朝鮮在住日本人社会と地方自治に関する基礎データの収集と、地方自治の背景としての植民地「政治史」の究明のための作業を行った。 (1)資料収集:植民地朝鮮で刊行された各種の新聞・雑誌、朝鮮総督府側の公文書を中心に、地方自治選挙の状況、当選・落選者のデータ、地方自治機構の活動内容について調査を行った。国内で国立国会図書館(憲政資料室)にて朝鮮統治に関わる文書資料を中心に調査する一方、韓国に出張し、国家記録院所蔵の「朝鮮総督府文書」から地方レベルにおける選挙の諸相に関わる文書資料の調査・収集を行った。 (2)基礎データの集積:地方自治および地方名望家集団の分析のための基礎作業として、地方民の直接選挙が行われた1920年から1943年までの地方自治議会(府協議会、府会)の選挙関連データを集積した。 (3)地方自治の背景として植民地「政治史」の研究 1910年代における地方自治に対する抑圧、在朝日本人名望家の政治活動に関する取締政策の背景として、「武断統治」の対在朝日本人政策に関する研究を進行した。研究成果は、翌年度に米国で開催される国際学会(AAS 2008)にて報告する予定である。また、制限的な地方自治が許容される1920年代以後の状況について研究を行い、その成果をThe Asian Studies Conference Japan (ASCJ) 2007にて発表した。同内容は、加筆・修正の上、翌年度に学術雑誌に投稿する予定である。
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