本年度は資料調査・収集作業を補完すると共に、集積したデータの整理・活用を通じて、地方自治組織の選出職公職者を中心とする植民地地方政治の動学および地方エリートの存在に関する本格的な分析を行った。 (1) 約1万件の人物情報データを構築し、これに基づいて植民地地方政治および地方エリートの存在様態について多様な角度から分析を行った。主な分析の枠は次の通りである。(i)各地域における当選者・落選者の変動、地域エリート集団の連続と交替。(ii)民族別投票傾向、当選者の比較。(iii)地域別、時期別特徴。(iv)他の公職兼任、政治活動への関係有無による各地域別「大物」名望家の存在。 (2) 以上の項目による分析に基づき、植民地朝鮮における在朝日本人自治機構および議員の全体像を描き、個々の政治問題、政治運動との関連を考慮しながら更に研究を進め、植民地「政治史」構成への一歩進展を図った。 (3) 以上の研究成果の一部を学会報告、研究論文などの形で発表した。また、課題研究全体の成果を総合的に取り纏め、学術雑誌への投稿を準備中である。 (4) なお、本課題を通じて蓄積された人物情報データについては、今後もテータの追加および加工を加え、後日インタネットデータベースとして公開することを目指す。
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