本研究の目的は、8世紀の官営銅生産遺跡である長登銅山跡より出土した木簡群を主な素材として、その正確な釈文を作成し、かつ古代長門国に存在した官営銅生産工房の運営システムの一端を具体的に明らかにすることにある。本研究では長登銅山跡出土の銅関係木簡について、詳細に現物調査を行うことにより、未読文字を可能な限り釈読し、記載内容を確定することにつとめる。また、これらの木簡が銅生産工房においていかなる機能を持って使用されたかを知るために、(1)飛鳥池遺跡出土木簡、(2)正倉院文書、(3)長屋王家木簡を比較対象史料として取り扱い、古代官営工房における製品生産と労働力編成との相互有機的関連を明らかにする。
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