平成19年度においては、1950〜60年代の沖縄援助政策の動向を把握するため、沖縄県公文書館を中心に資料調査を行い、国立国会図書館および宮古・八重山・奄美の各機関の所蔵資料についても把握につとめた。 その中で得られた実績は、主に二つの点にある。第一は、沖縄に対する経済援助をめぐって変化が生じ始めた60年代初頭の政治社会状況について、琉球政府および沖縄の各政党の対応を明らかにする資料の収集が進んだことである。沖縄県公文書館所蔵の「琉球政府文書」および「USCAR文書」から当該期の関連資料を抜き出すとともに、新聞・雑誌記事から援助問題に関する社会認識の動向をたどることができた。そこから、沖縄自由民主党を中心とする勢力が日米政府からの援助獲得に向けていかなる構想を有していたのかを分析を進めることが可能となった。 第二は、53年末に返還された奄美群島の復興を分析するための資料収集が進んだことである。返還後の奄美の復興事業は沖縄にとって貴重なモデルケースであり、その事業内容と島々の生活の変化.その結果が沖縄社会に与えた影響を把握することができた。
|