平成20年度においては、沖縄県公文書館における資料調査(琉球政府文書・米民政府文書を中心に)を随時行いながら、宮古・八重山・奄美および東京などの諸機関での調査を数回行った。 調査の主な内容については、まず日本政府の沖縄援助政策の原点を捉えるため、日本政府が1956年に設立した南方同胞援護会に注目し、その関連資料の調査・収集を進めた。また、沖縄社会からの援助要請の動きを把握するために、沖縄市町村会が1956年から発行していた会報を収集し、分析を進めた。その成果の一部は、『沖縄・問いを立てる第5巻イモとハダシ』所収の論文「占領と現実主義」においてまとめた。 また復帰前後の地域経済の問題を検討するために、八重山地方で生じていた季節労働者不足と台湾・韓国からの労働力導入の実態について資料調査を行った。 それと並行して、1953年に施政権が返還された奄美群島(鹿児島県)における振興開発計画とその実態を把握し、沖縄援助政策との関連を検討する必要があるため、鹿児島県立図書館奄美分館等において関連資料を調査・収集した。
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