本研究は、民衆が生活した地域という「場」に着目し、中国近代の社会変容を考察するものである。具体的には、中華民国時期から中華人民共和国建国初期の福建省を事例として、中国国民党政権や中国共産党政権による社会統合や革命を経て、地域の社会構造(例えば同族結合や土地制度)がどのように変容したのかを探求した。 以上の目的をもつ本研究を遂行するために、本年度は、福建省龍巖市及び〓田市において聞き取り調査を行った。福建省の内陸部の龍巖市は同族結合が強く、巨大な土楼と呼ばれる集合住宅に一族が集住するという伝統をもった地域である。また沿海部の〓田市は同族・同郷の絆に基づき、華僑を多数輩出した地区である。これら地域で老人から村の歴史を聞き取ると同時に、民間に所蔵されている族譜などの歴史来書を収集した。また調査地域を実地で見て歩くことで、当地の人文地理を確認するよう努めた。このような作業を通じて、地域の歴史や民衆意識を探求することが可能となる。 また文献資料については、福建師範大学や〓田学院図書館に所蔵されている地方性資料を閲覧・収集した。 また地域史を深く理解するためには、現地の研究者との交流が不可欠となる20年度においては、福建地域史の専門家である福建師範大学の林国平教授を筑波大学に招聘し、筑波大学東京キャンパスにおいて研究報告を実施した。また、現地調査についての意見交換を行ってた。福建地域史に関する研究成果を学術雑誌に論文として発表した。 また地域史と理解するためには、現地の研究者との交流が不可欠となる。20年度は福建地域史の専門家である福建師範大学の林国平教授を招聘し、筑波大学において研究報告を行ってもらった。また、現地調査についての意見交換を行った。 研究成果は、雑誌論文として発表した。
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