本課題は、中国の北朝後期~唐代前期(6~7世紀)にかけ、府兵制の下に再現された古典的軍事秩序と、唐代中期以降これに代わって出現した個別的な互酬的軍事秩序の相互関係について、歴史的経緯の中で分析していくことを目的とする。前者は古典の正嫡としての外被をまとっているものの、歴史的に見れば募兵制と対応する後者の方が普遍的に見られる現象である。そこで本課題では、(1)前者が採用された思想的文脈の解明、(2)北朝後半~唐代前半にも伏流する互酬的君臣関係の跡づけ、という両テーマに取り組み、「後者の持続性」という視点を軸に前者の相対化を図る。
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