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2010 年度 実績報告書

近代東北アジアにおける中国系移民の受容と排除

研究課題

研究課題/領域番号 19720187
研究機関近畿大学

研究代表者

上田 貴子  近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00411653)

キーワード華僑 / 華人 / 山東人 / 奉天 / 人口移動 / 極東ロシア / ハルビン / 中国東北
研究概要

本課題では東北アジアにおける中国系移民の受容と排除を対象として調査分析を行ってきた。特にその場合に中心的な対象としたのは山東半島北岸を出身地とし、一般に山東幇と呼ばれるグループである。
本年度は、同郷の紐帯から外れた存在がどのように移動し、移入先での安全を確保するのかについて集中的に調査を行った。2010年9月には中国藩陽の遼寧省档案館において、流民などの受け入れを行った慈善団体同善堂に関する公文書を閲覧し、非山東人の移民の動向について知見を得た。またこれをもとに、11月14日には日本華僑華人学会大会においてこの成果を「1920年代東北アジアにおける人口移動」と題して報告した。女性の人口移動についてはほとんど研究がされておらず、あらたに掘り下げるべき問題点が明らかになった。
また、前年度からの成果をふまえて、神戸華僑総会主催「神戸華僑の歴史を語るIV:山東同郷会の歴史」に出席し、山東幇の活動について報告を行った。同時に、戦中戦後の山東幇の日本における活動について貴重な聞き取りの機会を得た。それによれば、貿易商として大阪、中国東北、山東を結んでいた山東幇は戦後も貿易商として大阪での活動を続けたが、中華人民共和国の成立によりいったん活動が下火となり、さらに国交正常化によって、大手商社が入ってくるようになると貿易商として振るわなくなった。その過程で、貿易に従事していたものも、川口などにいた同郷の山東人コックと協力して高級中華レストランの経営に参加し、マネージャーとなっていくとのことだった。従来、戦前・戦中と戦後の山東幇の歴史についてはあまり語られず断絶があったのだが、この歴史的空白が明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 20世紀の東北亜細亜における人口移動と「華」2011

    • 著者名/発表者名
      上田貴子
    • 雑誌名

      中国研究月報

      巻: 756号 ページ: 29-41

    • 査読あり
  • [学会発表] 1920年代東北アジアにおける人口移動~奉天同善堂に集まる女性を中心に~2010

    • 著者名/発表者名
      上田貴子
    • 学会等名
      日本華僑華人学会大会
    • 発表場所
      横浜山手中華学校
    • 年月日
      2010-11-14
  • [図書] 歴史的視点からみた東アジアのアイデンティティと多様性2010

    • 著者名/発表者名
      東北亜歴史財団(韓国)
    • 総ページ数
      364
    • 出版者
      東北亜歴史財団(韓国)

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公開日: 2012-07-19  

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