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2010 年度 実績報告書

中世初期イングランドにおける地域社会の形成―ミッドランドの社会経済ネットワーク―

研究課題

研究課題/領域番号 19720193
研究機関愛媛大学

研究代表者

森 貴子  愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10346661)

キーワード西洋史 / 中世史 / イングランド / 社会経済 / 史料論 / 文書史料
研究概要

本研究は、イングランド中世初期社会の形成と変容を、人や物の結び付きとそれが創りだしていく「地域」に着目して、長期的かつ包括的に追究するものである。
2010年度は、前年度に引き続き、10世紀頃に登場した文書実践(割り印証書カイログラフ)に注目し、その社会背景の理解に向けた準備作業を進めた。具体的には、相対的に多くのカイログラフを伝来させている教会の文書所のうち、ウスター司教座とベリー・セント・エドマンズ修道院を対象に、伝来と作成の特質を探った。その結果(1)名宛人を記載する慣行がなく、オリジナルで伝来している割合の高いウスター司教座に対し、オリジナルは存在せず、転写された文書での名宛人の記載からカイログラフ利用が判明するベリー・セント・エドマンズ修道院という文書伝来上の相違が明らかになり、さらに(2)期限付きの土地貸与に関して広くカイログラフが採用されたウスター司教座と、遺贈について選択的に作成したベリー・セント・エドマンズ修道院というように、作成場面における文書所ごとの特質が浮かび上がってきた(以上の成果は『愛媛大学教育学部紀要』に掲載)。その背景については、各教会組織が置かれていた環境を再現することで理解できるのではないかと考えている。また、カイログラフ形式の文書にも一般的に現れる証人や、第三者であるにもかかわらず名宛人とされた人物・組織については、初期社会の人的ネットワークの紡ぎ方とその意味を考察するための重要な素材であり、「地域社会」形成過程の解明に資するものとして注目している。そしてこうした人的結合関係把握のためには、社会における様々なレベルでの「集会」assemblyを検討する必要があるが、昨年度はその手始めとして、裁判や係争に関わる議論を、大陸史との比較の視点から概観しておいた(この作業は「カロリング期の統治実践とリテラシーによせて」として整理した)。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] カロリング期の統治実践とリテラシーによせて2011

    • 著者名/発表者名
      森貴子
    • 雑誌名

      西欧中世文書の史料論的研究

      巻: 平成22年度年次報告書 ページ: 35-38

  • [雑誌論文] 中世初期イングランドにおけるカイログラフの登場-社会背景解明に向けた予備的作業-2010

    • 著者名/発表者名
      森貴子
    • 雑誌名

      愛媛大学教育学部紀要

      巻: 57巻 ページ: 213-225

  • [図書] オックスフォード ブリテン諸島の歴史 第3巻 ヴァイキングからノルマン人へ(翻訳。森担当分は「第三章 交換、交易そして都市化」および「第六章 書くこと」)2011

    • 著者名/発表者名
      ウェンディ・デイヴィズ(編)/鶴島博和(監訳)
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会(刊行確定)

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公開日: 2012-07-19  

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