近代ロシア帝国における政治秩序を把握するための、あらたな視角を得た。それは「専制の風土論」(geopolitical culture of the autocracy)と呼びうる。それが意味するものは、専制権力、領内の自然、臣民の身体の一体性を実現しようとするイデオロギーである。第一次世界大戦期のロシア帝国において、このイデオロギーが追求される過程を、アーカイヴ史料に基づいて明らかにした。さらに、このイデオロギーが、総力戦という状況を媒介として、専制権力からボリシェヴィキ政権へと継承されるという展望をも示した。
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