本研究の目的は、ベトナムの原始から近世にかけての遺跡・遺物の情報を集成したベトナム考古学データベースの構築にあり、これまでに確認されているベトナムの考古遺跡の所在地、年代、遺構・遺物、関連史料・遺跡、参考文献などの基本的な情報をデータベース化(日本語と英語)する。 本研究の目的を遂行するため、本研究年度ではおもに、(1)ベトナム考古学関連の遺跡の調査報告、研究論文、専門書を収集するとともに、その図書目録の作成・修正作業を行った。(2)昨年度に引き続き、ベトナムの遺跡調査報告集『Nhung Phat Hien Moi Ve Khao Co Hoc』や歴史系学術雑誌『Nghien Cuu Lich Suu』に掲載された論題名や著者に関する情報をベトナム語と英語で入力し、遺跡名や省名などから文献を検索できるようにした。(3)ベトナム人研究者の協力のもと、各遺跡情報に添付する写真や資料を収集・整理した。(4)台湾とベトナムでは考古学分野での研究交流がなく、台湾で見つかったベトナム考古学資料の情報は皆無であったため、台湾で所蔵、出土しているベトナム考古学関係資料のデータを収集した。(5)ベトナムにおいて、主要な遺跡の考古学情報を収集した。 このような、各遺跡についての情報や映像、関連史料や歴史資料などのデジタル化、データベース化は、ベトナム研究の調査・研究の足がかりとなるもので、世界の研究者にベトナム考古学研究の門戸を開き、アジア考古学研究の進展を促すものであり、高い国際的評価を獲得できる有意義な研究である。
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