2007年8月から9月にかけて調査対象地域ネパール西部・ヒマラヤ地域のマナン郡において、現地調査を実施した。今回の調査は、マナン郡の概観を把握することと、今後人口動態とその影響を詳細に明らかにし、分析していくための研究対象地域を選定・位置づけすることにあり、いわば予備調査的なものであった。アッパー・マナンにある7村を中心に各村の概観を掴む為の観察・聞き取り調査を行った。今後詳細な調査が必要であるが、2001年の統計ではネパールで最も人口増加が著しかったアッパー・マナン郡では実際に過疎化が目立ち、住民登録を村でしても実際にはカトマンドゥをはじめとした都市に住んでいる人口が多いらしいことが分った。このような状況において比較的村の人口が多くて、アッパー・マナンの中心で新しく観光客誘致の動きが見られるマナン村を調査対象地域として選定した。またマナン村には約20年前に形成されたという氷河湖があり、自然環境の変化についても注意を払っていかねばならない地域であることが分った。 マナン村にあるアンナプルナ地域一帯の自然環境と人々の生活環境を保全する活動を行っているNGO、Annapurna Conservation Area Project(ACAP)の支部(マナン)や本部(カトマンドゥ)で当該地域の人口動態について、近年の観光客数の動態や環境保全プロジェクトの具体的な内容について聞き取り調査を行い、当該NGOが実施しているマナン郡での調査報告を収集した。また、測量局において当該地域の地図を収集、標高差の大きな地域での調査に必要不可欠な地図を電子化し、次年度以降の集中調査の準備を進めた。
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