1) 羽地内海沿岸の一集落において、利用される生物資源と採集方法について参与観察と聞き取り調査をおこなった。その結果、礫が多い底がある干潟では、マスオガイが採集されてきたことがわかった。本種は陸域からの湧水がある場所に集まって棲んでいるが、その湧水の存在も住民によって認識されている。 2) 名護市教育委員会の発掘資料により、羽地内海近くのウフドゥーバル遺跡の貝塚に干潟性の貝類がみられることがわかった。これらの貝類のなかには現在高齢の女性が認知して採集しているものも含まれ、その歴史的連続性がうかがえる。 3) 近年の住民参加型の自然管理における、権力の不平等な分布に関する議論では、ジェンダーの役割が着目されているものの、ジェンダーを地域的背景とのかかわりから動態的にとらえている研究は少ないことが、文献レビューからわかった。
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