外資系企業の誘致による経済発展政策と社会保障制度の整備といった課題に対して、地方政府が、どのような取り組みを行っているかを検討した。具体的には、外資系企業の誘致に成功し中国有数の都市に成長した大連市と、地域経済の基盤を国有企業に依存し、多くの潜在的な失業者を抱えている撫順市を対象地域として取り上げた。結論として、大連市の場合、進出日系企業が、地方政府による誘致活動を、高く評価しており、誘致活動は、進出企業が持つ当該地域の政治情勢やビジネス慣行の違いといった政治的・文化的側面への不安をカバーできるので、企業立地に際して、重要な役割を果たしうることを指摘した。その一方で、撫順市の場合は、地方政府の財源不足もあり、大連に比べると、魅力的な企業誘致活動や失業した住民へのケアが十分になされていない点を指摘した。
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