本年度は、過去2年間の海外調査にて撮影してきた映像を編集し、作品としてまとめるための作業を行ってきた。撮影した映像すべてを見直し、粗編集を行い、必要な箇所の書き起こしと翻訳を行った。そのうえで、日本における民族誌映像制作の第一人者である市岡康子氏(元「すばらしい世界旅行」ディレクター)に指導をあおぎ、編集を続けた。本年度末に2ヶ月の産休となってしまったため、作業を一時中断せねばならなかったが、60分強の映像作品はほぼ完成しつつある。 研究目的である、キューバから越境した青年たちの希望と実践に関する実態の調査および映像作品の作成は、ほぼ予定通り遂行できた。個別具体的なライフヒストリーを扱うことによって若者の労働意欲と希望の問題に関して新たな光を当てることを目的としてはじめた本プロジェクトは、世界的な経済危機と重なったため、グローバルな経済構造および政治システムに関して世界各地におけるエスノグラフィックデータを提供することとなった。今後はこのデータと映像作品を通じた人類学的研究の実践的活用を追求していきたい。
|