20年度は、研究計画をほぼ予定通り、行うことができた。 1. 国内調査について。館林、東京、横浜など数回にわけて、無国籍者の調査を行った。研究計画では、中国系や朝鮮系を対象とする予定であったが、2008年の最高裁判決や、2009年初頭国際問題としても注目されたロヒンギャなど、時事的な問題として注目された、フィリピン系やロヒンギャの人々を追跡し、インタビュー調査を行った。 2. 海外調査について。2008年8月に中国・藩陽、12月にタイ・バンコクで調査を行った。中国では、一人っ子政策のもと、生まれてきても出生届けを出されていない「黒戸口(無戸籍者)」に関する調査を行った。中国では、現地の研究者に協力を依頼し調査を行ったが、この問題に政府がとても敏感になっており、どこまで成果として公開できるか検討が必要である。タイでは、ベトナム系の無国籍者、そしてロヒンギャへのタイ政府と対応について情報収集を行った。 3. 研究フォーラムについて。2008年11月23日、東京国連大学において、「無国籍者からみた世界」現代社会における国籍の再検討」と題する研究フォーラムを開催した。無国籍者をはじめ、弁護士、専門家などがパネリストとして議論をおこなった。200人近い一般参加者が集まり、盛況であった。 21年度は以上の成果を踏まえ、報告書の作成に尽力したいと考えている。
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