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2007 年度 実績報告書

情報化社会における自律的主体の形成と統治構造の変容

研究課題

研究課題/領域番号 19730002
研究機関名古屋大学

研究代表者

大屋 雄裕  名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (00292813)

キーワード法哲学 / 監視社会 / 法規制 / 監視カメラ / 自由 / 情報化社会
研究概要

情報化が国家の統治システムと個人の主体性に及ぼしつつある影響について調査を行ない、理論的検討を行なった。具体的には、さまざまな監視技術・監視システムが社会へ浸透し相互に結合されることによって個人のあり方が総合的に把握されるという問題につき、そういったシステムの活用例、肯定側・否定側双方の意見・論拠に関する調査を行ない、その妥当性評価に関する理論的研究を行なった。
特に、国家による監視が多いか少ないかによって個人の自由が制約されるという従来の一次元的モデルを批判し、国家・個人と中間団体の相克関係というむしろ古典的な法哲学のモデルが監視社会論について持つ意義を明ら加にした点、また監視の量よりもその使われ方が個人の自立性という観点からは重要であることを明らかにした点は、当該分野において前例のない指摘であり、画期的な成果であったと評価できる。
監視の利用法を評価する基準として大きく事前規制のための利用と事後利用のための利用を区別したこと、それぞれの長短について実際の例を元にある程度具体的に検討したこと、またそれぞれについて許容されるべき基準の要素(たとえば被治者の認識と同意、離脱可能性、潜在するリスクとその重大さ)を明らかにすることによって、国家による監視手段の活用や、中間団体による監視手段への規制について、その可能性と限界を検討する枠組を構築することに成功した。単に理論的検討が詳細であるというだけでなく、このような現実の社会制度の検討に向けた応用可能性については、実務家からも高い評価を得ている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 分散する規制、分散する主体2008

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      Mobile Society Review未来心理 11

      ページ: 6-13

  • [雑誌論文] 憲法とは政治を忘れるためのルールである:理念から決め方の論理2007

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 雑誌名

      RATIO 4

      ページ: 150-173

  • [学会発表] 監視と自由の関係:事前規制と事後規制の違いを中心に2008

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 学会等名
      警察政策フォーラム
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2008-03-23
  • [図書] 自由とは何か:監視社会と「個人」の消滅2007

    • 著者名/発表者名
      大屋雄裕
    • 総ページ数
      214
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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