本年度は2年計画の1年目であり、関連史料の収集と整理に重点を置いて作業を行った。作成予定であった日本現存近代中国法制関連書目データベースについては、既に既存書目からのカード化によって研究代表者が得ていた情報につき、東京大学(附属図書館・法学部図書館)・早稲田大学(中央図書館)・慶應義塾大学(三田メディアセンター)・一橋大学(経済研究所図書館)・京都大学(法学部・経済学部・人文科学研究所・漢字情報センター図書館)の各図書館及び国立国会図書館に実際に赴いて所蔵状況調査を行い、その他の機関(東洋文庫・山口大学東亜経済研究所図書館・愛知大学図書館等)についても目録等での所蔵状況確認作業を行った。これらには各機関において未だOPAC等への遡及入力が終わっていない書籍に関する新史料情報なども含まれ、史料検索・整備の面で学界へも大きく資する貴重な基礎情報整理作業を行うことができた。以上の情報について、また関連の欧文文献のリスト(部分)についても学生アルバイトを用いてパソコンへの入力作業を終えた。また中華民国時期の根本資料である『司法公報』マイクロフィルムを購入しその書誌情報の整理を終え、同時期の主要な法学関係雑誌である『法律評論』『法学研究』については上海図書館に赴いて閲覧・複写により全収録論文の目次情報を得るとともに関連論文の収集を行った。以上の作業は中国近代法史研究の基礎データの整備という確固たる研究基盤を提供するものである。また中華民国時期法制を継承する台湾において関連書籍の収集を行い、特に台湾現行法から中華民国期法制を見るという視座を導入した。本研究のテーマである民刑事法の立法過程については、それを最も良く伺える分野が主として家族法であることを確認し、それを中心として情報整理を行った。
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