平成19年度は、GHQで法律家として法制改革に深く携わったトーマス・ブレイクモアと、その妻で、同じくGHQスタッフであった画家・美術史家のフランシスについての史料収集に力点を置いて活動を行った。8月27日から9月2日にかけて、シアトルのブレイクモア財団に赴き、財団所蔵史料を整理して目録を作成した上で、一部についてはデジタルカメラによる撮影を行い、併せて、プレイクモア夫妻について、財団理事長グリフィス・ウェイ氏及びパトリシア夫人に対するインタヴューを行った。また、生活クラブ生活協同組合が所有し、現在あきる野市の組合施設に保管されているブレイクモア関連史料について、5箱分をデジタルカメラによって撮影し、電子データ化を行った。これに加え、あきる野市においてブレイクモア夫妻に関する研究会を2回にわたって行い、史料の価値の周知に務めた。 以上の他、国立国会図書館憲政資料室が所蔵するGHQ/SCAP文書のうち、特に、ブレイクモアと、その上司であるアルフレッド・オプラーが所属していた民政局・法務局のクロノロジカルファイルにつき、目録化を進めている(この史料については、獨協大学法学部の福永文夫教授のご好意により精査が可能となったものである)。これらの史料や、購入した文献による知見を踏まえ、『桐蔭法学』誌上に、「憲法秩序の変動と占領管理体制「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」(昭和二二年法律第七二号)の制定及び改正過程を中心として」」と題する論文を公表した。
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