• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

表現の自由と人格権との調整に関する基本的枠組み

研究課題

研究課題/領域番号 19730015
研究機関岩手大学

研究代表者

上村 都  岩手大学, 教育学部, 准教授 (30374862)

キーワード表現の自由 / 人格権
研究概要

1. 本研究は、表現の自由と人格権との調整について、ドイツ連邦憲法裁判所の判例法理を中心に、両者の権利に配慮した調整の枠組みの抽出を目指すものである。
2. 本年度は、いわゆるモデル小説と人格権との調整が問題となったドイツ連邦憲法裁判所のエスラ事件決定を素材として、調整の枠組みについて整理・検討した。モデル小説の問題は、ドイツでは、芸術の自由の問題として論じられるため、芸術の自由の特殊性について若干の整理・検討を行ったうえで、調整のためのいくつかの視点がモデル小説という特徴から導かれることを明らかにした(この研究成果は、「エスラ事件判決」としてドイツ憲法判例研究会において発表した。近々、「自治研究」誌に掲載予定である)。裁判所は、(1) 同定可能性の審査、(2) 人格権侵害の強度、(3) 人格権侵害の強度と要求される虚構性の程度の3点から審査を行っており、同定可能性や虚構性の抗弁についてはすでにわが国の裁判所も説示しているが、虚構性の程度と人格権侵害の強度との相関関係について詳細に語ったものは見当たらない(おそらく同趣旨と思われる内容を簡潔に語る判例が1件あるのみである)。この点について詳細に論じる本判決の内容を正確に理解することはわが国における同様の問題を考える上でも有益なものと思われる。
3. 併せて本年度は、表現の自由対抗法益である人格権について、そこに含まれる内容について簡単に概要を整理した。この問題は、表現の自由と人格権との調整を考えるの前提問題である(この研究成果は、「ドイツにおける人格権の基本構造」岩手大学文化論叢に掲載予定である)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ドイツにおける人格権の基本構造2009

    • 著者名/発表者名
      上村都
    • 雑誌名

      岩手大学文化論叢 7(掲載確定)

  • [学会発表] ドイツ連邦憲法裁判所119巻1頁の判例--エスラ事件決定--芸術の自由と人格権との調整--2009

    • 著者名/発表者名
      上村都
    • 学会等名
      ドイツ憲法判例研究会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2009-01-10
  • [図書] ドイツの憲法判例III2008

    • 著者名/発表者名
      ドイツ憲法判例研究会編
    • 総ページ数
      621(142-147)
    • 出版者
      信山社
  • [図書] ヨーロッパ人権裁判所の判例2008

    • 著者名/発表者名
      戸波江二ほか
    • 総ページ数
      558(395-399)
    • 出版者
      信山社

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi