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2010 年度 実績報告書

憲法解釈学における国家理論の役割とその変容―ドイツ憲法学史を題材に

研究課題

研究課題/領域番号 19730017
研究機関東京大学

研究代表者

林 知更  東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30292816)

キーワード憲法 / 国家 / 憲法理論
研究概要

本年度は第一に、これまで国家との強度な連関の下で議論されてきた主権や権力分立、民主政、基本権などの基本概念が、近年の国際化・ヨーロッパ化の潮流の中でどのように問い直されているか、ドイツ公法学の議論の動向をサーヴェイすべく試みた。具体的には、過去十数年くらいにこれらの主題について書かれた教授資格論文などを渉猟し、また以前検討したことのある関連した重要業績を、新たに得られた知見を踏まえて読み直し再評価する作業を進めた。これによって、現代的問題状況に対するある程度の見通しを得ることができたと考えているが、具体的な成果として公表するのは次年度以降になる。第二に、ドイツ国家論に取り組む上で避けて通ることができず、しかし日本からは容易に理解しがたいものとして、連邦制の問題があるが、本年度後半はかなりの精力を傾注してドイツ連邦制論の基礎的理解の獲得に努めた。ザイデル、ラーバント、イェリネック、プロイスなど第二帝政期の古典学説の読解と並んで、連邦共和国における連邦制論について重要文献と最近のモノグラフィーなどを読み進めた。これについても、成果の公表は次年度以降を予定している。第三に、国家と地方自治の関係について、特に民主政論との関係に着目しつつ考察した。地方自治もまた国家論の裏面で避けることのできない主題であるが、本格的に着手したのは初めてで、初期投資に時間を取られた。なお、この主題では小論をひとつ公表した。第四に、本研究の個別的論点への応用として、年度の初めに政教分離論について論文を執筆した。以上を要するに、本年度は、前年度までの歴史的・学説史的検討を踏まえ、現代的問題状況により多く力を注ぎ、またとりわけ国際化やヨーロッパ統合、連邦制、地方自治など、政治的な決定単位の重層性の問題と国家論との関係について研究を深めることができたと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 「国家教会法」と「宗教憲法」の間-政教分離に関する若干の整理2010

    • 著者名/発表者名
      林知更
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1400 ページ: 83-95

  • [雑誌論文] 日本憲法学はEU憲法論から何を学べるか2010

    • 著者名/発表者名
      林知更
    • 雑誌名

      比較法研究

      巻: 71 ページ: 94-107

  • [雑誌論文] 二元的代表制に関する憲法学的考察2010

    • 著者名/発表者名
      林知更
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 14 ページ: 31-37

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公開日: 2012-07-19  

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