研究課題
本年度も、昨年度に引き続き、研究課題に関する邦語・欧米語の文献の収集に努めるとともに、現代のフランスにおける憲法学基礎理論の分野での代表的論者であるミシェル・トロペール(パリ第十大学名誉教授)の仕事を中心に、現代のフランス憲法理論の研究を行った。トロペール教授の論文の翻訳としては、「法政研究」75巻3号に、「フランス革命初期における司法権の概念」を掲載することができた。また、引き続き、同氏の著書「法哲学」の邦語訳を準備中である。本年度の特筆すべきことがらとしては、研究対象であるフランス憲法が、2008年7月に、これまでで最大の改正を受けた。このことが憲法学に与える影響については、まだ施行されていない条文もあることもあり、未知数の部分が大きい。とりあえず、改正の概要とそれについての簡単な分析を、「法律時報」81巻4号に掲載することができたのは、本年度の大きな成果である。おそらく、邦語での本格的な紹介・検討としては、拙稿が初めてのものである。なお、憲法の解釈とはなにか、そしてそもそも憲法とはなにか、という、本研究に通底する根本的な問いについて、フランス法理論を参照した研究の成果を踏まえて、それを初学者にわかりやすく説明することを目指したものとして、本年度の後半は『ブリッジブック法学入門』の編纂に注力した。2009年4月に信山社出版より刊行される予定である。編者として編集に携わったほか、同書には「法と法学」、「違憲審査制と国法秩序」の2章を寄稿している。本年度は、残念なことに渡仏して研究交流を行う機会を得ることができなかった。
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すべて 雑誌論文 (6件) 備考 (1件)
法律時報 81巻4号
ページ: 92-100
法学セミナー 641号
ページ: 12-17
O. Jouanjan et al(ed.), Les mutations contempor aines de la dernocratie
ページ: 127-135
O. Cayla et J.-L. Halperin(ed.), Dictionnaire des grandes ceuvres juridiques
ページ: 410-417
法政研究 75巻3号
ページ: 77-97
国家学会雑誌 121巻3=4号
ページ: 2303232
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