(1) イギリスの国際法史におけるイギリス外務省法律顧問の役割に着目し、1946年から1960年までの9件の国際訴訟事件におけるイギリス政府の国際訴訟戦略を分析する。 (2) 研究目的は3点ある。直接的な目的として、イギリス政府の国際訴訟に関する対外政策決定過程と国際訴訟追行の仕方の解明である。これは、国際法実務にあまり着目してこなかった外交史学にとっては価値があろう。第2の目的として、国際法の発展を実務家の観点から描くことである。我が国では、国際法の発展を描くにあたっては、国際裁判所の判決の分析か、国際法研究者の思想研究が多く、外交史的手法は珍しいと思われる。第3の目的は派生的なものであるが、国際法学でも未発達な国際訴訟戦略論の発展である。このような研究は、我が国の国際法学ではあまり見られない研究であるので、独特な意義があると思われる。
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