本研究は、アメリカ合衆国のコンスピラシー(Criminal. Conspiracy)に関する議論を参照しつつ、コンスピラシーと共謀罪とを取り巻く社会の在り方や刑事司法システムの在り方、刑事実体法の理論的な背景の相違点等の、共謀罪処罰規定をめぐる理論的な背景を明らかにし、もって、喫緊の課題である国際的な組織犯罪への「あるべき法的対処」の枠組み・「取り得る法的対処」の枠組みを示そうとするものである。本研究は、抽象的には、このような点についての検討を為そうとするものである。 前述の研究目的を達成するためには、すでに共謀罪と類似の概念であるコンスピラシー規定を長らく有し運用しているアメリカ合衆国における議論を精査することが必要である。その際、とりわけ、(1)現在の立法・解釈とその問題点、(2)実務において果たしている役割の2点の整理・検討が重要となる。 そこで、平成20年度は、アメリカ合衆国法における共犯概念につき整理し直し、これとコンスピラシーとの関係や機能的な相違点、両概念が併存することに伴う実体法上の問題点等について、研究を進めた。
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