研究概要 |
本年度は、コンスピラシーが検察官にとって「最愛の人」であるといわれる理由を確認した上で、「愛される理由」のひとつであると思われる、ピンカートン・ルールについて検討した。 ピンカートン・ルールは、アメリカ合衆国におけるコンスピラシーに妥当するとされるが、このルールは、あるコ・コンスピラターがコンスピラシーの促進として為した行為は、合理的に予見しうるものであれば、他のコンスピラターにも帰属する、とするものである。 アメリカ合衆国連邦最高裁は、未だにピンカートン・ルールについて、この60年間言及していない。しかしながら、下級審では、ピンカートン・ルールに制限を加えようとする動きも見られる。そこで、本研究では、ピンカートン・ルールの誕生と展開を概観した後に、これらの下級審判決を素材に、ピンカートン・ルールを巡るアメリカ合衆国における裁判実務の現状を素描することを試みた。 また、近年、マーク・ノーブリは、ピンカートン・ルールに対する、デュー・プロセスによる限界づけを構想している(Mark Noferi, Towartds Attenuation: A"New" Due Process Limit on Pinkerton Conspiracy Liability, 33Am. J. Crim. L. 91 (2005-2006))。本研究では、これを参考にしつつ、ピンカートン・ルールへの、ありうる限界づけ(あるいは修正)のあり方を検討した。
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