【研究実績の概要】 犯人自身が、第三者に対して自己をかくまってくれるように依頼した場合、犯人蔵匿罪の共犯として可罰的たりうるかという問題(犯人蔵匿罪の必要的関与行為の可罰性の問題)については、これまで、(正犯共犯比較論・立法者意思説・期待可能性の理論等の視座から)不可罰(が原則)だとする立場が強く展開されてきたが、近時の必要的共犯論の動向からすると、基本的に可罰的だとする見方も十分に展開可能であり、今後はむしろこちらの見解が主流になるべきと考えるにいたっている。残された細かな部分の検討・考察を引きつづきおこない、次年度の最新の議論状況をもふまえた上で、業績として公表したい。 会員によってアップロードされた名誉毀損表現を放置したプロバイダの行為(プロバイダの刑事責任の問題)については、プロバイダの種別の問題についての確認からはじまり、プロバイダの行為を作為・不作為いずれとして理解すべきか、プロバイダにデータ削除義務を課すのは妥当か、価値中立的行為として捉えた場合いかなる法的評価を下すべきか、といった種々の視点から検討をおこなってきた。ドイツの研究者から直接意見を聴取することもでき、考察は深まってきている。私見を整理・精査し、ドイツにおける近時の議論もフォローした上で、業績として公表したい。 【業績の公表】 上記のように、各テーマについて検討は着実に進捗しているが、引きつづき詰めの検討・考察をおこない、今後、順次業績公表につなげる予定でいる。
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