相続法における私的自治の原則および平等原理の問題を、遺言と遺留分の二領域に分けて検討した。遺言については、単独行為である遺言では遺言者の意思を尊重しさえすればよく、相手方の信頼保護は問題にならないという一般的な理解には、再検討の余地があるということを明らかにした。遺言においても、信頼保護という財産法上確立している原理が意味を持つのであり、そのような観点から財産法と相続法の原理を検討することの重要性を指摘し、成果を日本公証法学会にて報告した。遺留分については、事業と遺留分が対立する局面での遺留分権論を検討し、遺留分権利者の利益と、事業の維持の両面を考慮する遺留分権論を提唱し、成果を日本私法学会にて報告した。
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