本研究は、私的扶養制度と公的扶助制度との関係をドイツ法と比較検討し、ドイツでは、社会国家として国家が第一次的に個人の公的扶助を受給する権利を保障し、この権利を社会扶助実施機関へ移転させることで、私的扶養制度上、扶養義務者に私的扶養債務を強制することを可能にしていること、また近年の社会状況を考慮し、高齢者等に対する基礎保障制度が扶養義務者をその義務から解放する制度を構築していることを明らかにした。そして、これらの検討を通して、わが国ではこれまで不明確であるとされてきた扶養請求権を明確化すること、扶養義務の限界への示唆を試みた。
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