米国著作権法におけるフェア・ユースに関する議論(特に、法と経済学による分析であるフェア・ユースの市場の失敗理論)から、日本著作権法における制限規定への示唆として、以下の点が明らかとなった。第一に、著作権者から許諾を得ることが難しい場合として、著作物の批判的な利用やパロディを許容する必要性が示される。第二に、教育・研究目的の著作物利用は正の外部効果から利用を認める必要性が高いが、現在の日本著作権法における図書館における複製や教育関係の制限規定では、利用が十分に確保できない問題がある。第三に、表現の自由やコミュニティの醸成など、効率性に還元されえない価値が関係する場合は、自由領域を確保する必要性が高いといえる。
|