(1) 研究目的 (1) 著作権信託は受託者義務の具体的な内容など明確でない点も多い。著作物が無体物であるという特殊事情を考慮しつつ、著作権信託の構造を明らかにする。 (2) 著作権信託において併存する信託業法と著作権等管理事業法との関係について、上記の著作権信託の構造に関する研究結果と互いにフィードバックさせながら、2つの業法を比較し、両者の関係を明確にする。信託業法において著作権の信託ができることとなった現在、著作権等管理事業法の存在意義はどのようなものであるかについて研究を行う。 (2) 研究内容 (1) 著作権法、著作権等管理事業法、信託法、信託業法の機械的な条文比較のみに終始しないよう、1922年の信託法・信託業法の制定および1939年の仲介業務法の制定から現在に至るまでの過程をしっかりと把握し、今後の法改正についてもその位置づけを鳥瞰できるようにするため、時間的観点からの考察を行う。 (2) 信託法には、受託者の義務等の内容を適切な要件の下で合理化することが掲げられており、無体物であるという著作物を対称にしているという特質を念頭に置きながら、これらの規定が著作権信託にどのような影響を与えるのかを考察し、著作権信託の構造に関する研究を行う。 (3) 仲介業務法制定の際には欧米の法制が参考とされており、とくに音楽著作権については諸外国に管理事業者制度があるため、比較対象として有益であり、比較法的観点からの考察を行う。
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