本研究課題は、アメリカ合衆国において諸分野の専門家が政策形成過程で確固たる地位を占めるようになっていった過程を、それが確立したと考えられる20世紀前半の政治に着目して解明しようとしている。そのために、1910年代から1930年代にかけて生み出されたいくつかの連邦レベルの専門家機関を取り上げ、それらの設置過程を比較の観点から分析するとともに、別の、既存の専門家機関がこの間いかなる変容を遂げたのかを検討する。専門家に対する政府や世論の認識の変化や、専門家を生み出す社会的土壌の変容をも考慮に入れることによって、「専門性(expertise)による統治」がいかにアメリカで当然と受け取られるようになったのか、その過程と要因を明らかにしようとしている。
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