本研究の目的は、戦後日本の政策決定過程において、選挙制度と二院制度が首相の指導力にどのような影響を及ぼしてきたか、理論的、実証的に分析することにある。この目的を達成するために20年度は次のことを行った。 前年度に引き続き、分析に役立つ議院内閣制のもとにおける首相の指導力のあり方についての先行研究や二院制が政治過程におよぼす影響を分析する先行研究の理解に努めた。また、中選挙区制度が首相の指導力に及ぼした影響を明らかにするために、歴代自民党内閣における派閥毎に割り当てられた閣僚の数や派閥の規模を把握するとともに、重要閣僚の首相との距離を把握することにつとめた。 また二年度目も、首相と参議院の関係を分析することを引き続き行なった。このため、1955年体制が成立した後に、歴代自民党首相と参議院の関係がどのように推移したのか把握することに務めた。松野鶴平、重宗雄三という二人の参議院議長と石橋湛山、岸信介、池田勇人、佐藤栄作の四首相との関係を研究し、法案を安定的に成立させる上で首相がどのように参議院議長の協力を獲得しようとしたのか分析した。また、河野謙三参議院議長と田中角栄、三木武夫両首相の関係も分析した。また、近年の参議院の役割を分析するための材料を確保するために、総務大臣や参議院自民党幹事長を務めた片山虎之助氏にインタビューを行なった。さらに、インタビュー記録を冊子体として出版するために記録の編集作業を進めた。
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