本研究の目的は、戦後日本の政策決定過程において、選挙制度と二院制度が首相の指導力にどのような影響を及ぼしてきたか、理論的、実証的に分析することにある。この目的を達成するために21年度は次のことを行った。 また、中選挙区制度が首相の指導力に及ぼした影響を明らかことに引き続きつとめた。歴代自民党内閣における派閥毎に割り当てられた閣僚の数や派閥の規模を前年度に引き続き把握することにつとめるとともに、各派閥が国会における議院運営委員会をはじめとする委員会の職や自民党の幹事長や国会対策委員会の職をどのように確保していたのか把握することに務めた。 また三年度目も、首相と参議院の関係を分析することを引き続き行なった。このため、1955年体制崩壊後に衆議院で政権を獲得する与党が参議院で過半数議席を獲得できない状況がしばしば生じる中、参議院が法案審議過程にどのような影響を及ぼしたのか把握することに務めた。特に小渕内閣の下、自民党が参議院において少数与党になった時に内閣がどのように法案を成立させたか、福田内閣がやはり与党が参議院で少数派になった時に、再可決によって法案を成立させたか把握した。また、前年度に行なった総務大臣や参議院自民党幹事長を務めた片山虎之助氏にインタビューの記録の編集作業を進め、冊子体として印刷した。 首相と参議院の関係については、これまで行なってきた分析をもとに本の原稿執筆を開始した。ただ、研究年度の間には執筆は完了せず、出版は研究年度終了後になることになった。
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