研究概要 |
本研究は、「環境政治(Environmental Politics)」という切り口から戦後の日本の政治過程を捉え直すことを目標としている。 本年度行うとしていた研究は三つであり、第1は、これまでに行ってきた研究との関連において分析視角の精緻化を試みることであった。ただし、主に参照することを予定していた文献(T. J. Lowi, Arenas of Power : Reflections on Politics and Policy, Paradigm Pub)の出版が遅れていたことに加えて入手も遅れたため、この点は検討中である。第2は、外国人を軸とする近年の環境政治研究の収集と読み込みを進めることであった。これについては、継続していく必要があるものの、一定程度の収集は終えることができた。第3は、オーラル・ヒストリーの手法を、産業界関係者だけではなく国会議員にも応用していくことであった。周知のような次期総選挙をめぐる動向との関係で見合わせてきたのだが、来年度には実施したいと考えている。 他方で、次の二つの研究を進めることができた。第1に、昨年度行った学会報告の内容を論文としてまとめた。そこでは、国会(委員会)やメディアにおけるアスベストに関する議論動向を分析するなかで、戦後を通して行政が置かれていた状況などを明らかにした。また、第2に、比較の観点からの事例研究の一つとして、「景観」に着目した論稿を公表した。そこでは、政治・行政がどのようにそれを読み込んでいるのかについて検討することの重要性などを指摘した。
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