本研究の目的は、議院内閣制を採用する英連邦諸国の政府内調整メカニズムとの比較のなかで、戦後の日英両国の政府内における調整メカニズムの発達過程を解明することにある。本年度は、現地調査としては11月から12月にかけて英国を訪問し、インタヴューの実施とともに国立公文書館での未公刊の政府公文書に関する調査を行った。日本側についても、1970年代を中心に、情報公開法に基づく公文書の公開を求め、ある程度、開示が認められている。本研究の理論的検討についても、日本および欧米の文献の整理を行う作業を続けている。本研究のテーマに基づいた日本政治の現状分析も行っており、同時に、英国政治に関しては政府内調整にも影響を与える外部的な影響力としての議会、政権党、司法の役割についても考察対象を広げている。司法の役割はとりわけ政府内政策決定にも重要なインパクトを与えるようになっていることから、本年度の研究の過程で浮上した課題である。以上のように、本研究の初年度には、テーマに関する時代的な焦点を明確にしつつ、文献や資料の渉猟・整理を行い、より広い文脈におけるテーマの位置づけを再設定し、論文の執筆および研究会における報告を行い、着実に研究が進められた。
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