政府(ヒエラルキー)でも市場(マーケット)でもない統治(ガバナンス)の方法、つまり「ネットワークによるガバナンス」を分析する研究者(特にイギリスやオランダの学者)は、政策実施の責任と政策策定など高次の調整(メタ・ガバナンス)の責任を暗黙裡に区別し、多様な主体から構成されるネットワークに政策実施を委ねても、政府が調整する責任は残ると考えている。本研究では、以上の示唆が「国民参加型援助」が声高に叫ばれる日本の援助行政(ODA)の現況にも当てはまることを示した。このことにより同時に、日本の援助行政と他の公共政策の類似性の一端が明らかとされた。
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