本研究は、地方分権化がアフリカの地方政治にいかなる変化や課題をもたらしているのかを明らかにするだけでなく、最終的には実際的援助政策に対する政策的な提言を行うことを目的としている。 平成19年度は、3年間の研究助成期間の初年度として、西アフリカ諸国的分権化改革の沿革を整理しながら、分権化による地方自治体の政治的・行政的ガヴァナンスに与える好影響と問題点を明確にし、比較研究を実施するための理論的整理・研究を実施した。当該分野の資料収集と整理を行った上で、平成19年12月には西アフリカ諸国の中で地方分権化の先進モデルと高く評価されるブルキナファソ共和国からの招待を受けて、自治体間国際協力の大会に出席し、さらなる資料収集と、既に整理した情報とを照らし合わせ分析枠組み構築ための足がかりを固めた。ブルキナファソ出張に先立って、同年10月にはアフリカの地方分権化に積極的な支援・関与を行うフランスにおいて外務省での聞き取りや資料収集を実施した。 本年度の研究成果としては、アフリカ諸国における分権化の与える政治的インパクトに関する資料収集と分析のための方法論を固めることができたことが挙げられる。今年度の成果を踏まえて、次年度は、さらなる資料収集・分析の本格に加え、研究の中間発表として、国内でのシンポジウム(平成20年5月、宮崎大学)の開催を予定している。さらに、4月上旬には本研究テーマに深いかかわりのある地方選挙を実施するベナン共和国にて現地調査を実施する。次年度は他の研究者との交流、共同研究を通じて、最終的には出版としう形で研究成果を出し、関係機関への政策提言を行うことができるよう引き続き鋭意研究活動を継続する。 準備的研究成果物として、2006年に実施されたベナン共和国の大統領選挙への地方分権化の影響に関する論文を公刊した。
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