本研究は、地方分権化がアフリカの地方政治にいかなる変化や課題をもたらしているのかを明らかにするだけでなく、最終的には実際の援助政策に対する政策的な提言を行うことを目的としている。 西アフリカ諸国の分権化改革の沿革を整理しながら、分権化による地方自治体の政治的・行政的ガヴァナンスに与える好影響と問題点を明確にし、比較研究を実施するための理論的整理・研究を実施した。当該分野の資料収集と整理を行った上で、平成19年12月には西アフリカ諸国の中で地方分権化の先進モデルと高く評価されてきたブルキナファソ共和国からの招待を受けて、自治体間国際協力の大会に出席した。平成20年12月には西マリ共和国からの招待を受けて、自治体間国際協力の大会に出席し、関係機関、日本大使館と意見交換を行った。 最終年度は、これまでの理論的研究、現地調査を通じた資料収集、国内外の研究者との交流・意見交換の成果を通じて得られた研究の成果を出版物としてとりまとめ、日本の対アフリカ外交・援助に関する政策的インプリケーションを図ることを最終目標とした。 研究活動の結果、上記の通り、4件の学術論文(うち1件は査読有学会誌)、1件の学会発表、そして本研究の最終報告書を兼ねるために著書(単著『アフリカの地方分権化と政治変容』)を公刊した。そのうち著書は、当初の計画通り、研究成果を政策提言の形で我が国の外交・援助政策に還元するために、外務省、JICA、総務省、農水省、国会議員、県会議員(宮崎県)に提供し、それをもとに情報提供や意見交換を行った。その後、研究対象国(ベナン共和国)に着任する本邦特命全権大使より本書入手の要望もいただいた。本書については、今後、学会、政府機関の評価を待たなければならないが、既に一定の政策提言の目的は達成された。
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