本研究の目的は、米軍海外基地展開の起源、発展と現状を歴史的そして数量的に捉えることにある。また本研究はこれらを基礎として、海外基地展開に関する分析枠組みの構築を試みるものである。 2007 年度はまず、様々な国における米軍海外基地の起源と発展についての著書や関連資料を収集・整理した。また理論的文献の収集・整理を通して、海外基地展開を説明するための枠組みづくりに着手した。まず同盟の理論(Balance of Power/Threat)が、米国の海外基地展開をどの程度説明できるのかを検討した。米国と同盟を結んでいる国に必ずしも米軍基地が存在するわけではないが、大体の傾向は説明できるということを確認したうえで、他の側面からの接近を試みた。同盟関係あり、なし、基地有り、なしという2x2のマトリックスからそれぞれのタイプの特徴を模索したり、一般的に、(1)どのような経緯で米軍が置かれるようになったのか、(2)米軍が引き上げるのはどのような状況下にあるときか、そして、(3)国際環境が変化した後もひきつづき米軍が置かれるのはなぜかを、いくつかの要因をあげながら分析をした。まだ不完全な段階にあるが、来年度も引き続き検討を重ねる。 これまでの研究をまとめ、発表や論文の形にする作業を進めている。また、本研究のトピックと非常に深く関連する著書が2007年に出版され、幸いその書評をさせていただくことになった。この作業を通じて本研究の分析枠組みの精緻化へとつなげる。そして日本と他ホスト国との共通点・相違点も引き続きさらに分析をする。
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