研究概要 |
2008年度は、本研究の主要な目的のひとつである米軍海外基地の起源、終焉、継続の枠組みの精緻化を引き続き行った。ホスト国の国民が必ずしも米軍基地を快く受け入れていないにもかかわらず、なぜこれほど多くの米軍が世界に展開しているのか。米軍基地の起源は敗戦・占領に加え強制移動から始まる場合もあり、米国とホスト国間の相互的な合意により米軍を受け入れるというケースは比較的多くないことが分かった。いかに米軍のプレゼンスが終わるか、あるいは継続するかに関しては、Kent CalderのEmbattled Garrisos (Princeton univ. Press, 2007(『米軍再編の政治学』日本経済新聞社2008年))やAlexander CooleyのBase Politics(Cornell Univ. Press, 2008)の出版が本研究にとって極めてタイムリーであった。様々な国内政治のパターンが大きく影響を与えているという点は、枠組みの精緻化において大いに参考となった。また、米軍基地の政治学的分析の意義を再認識させてくれたという意味で重要であった。International Studies Association (NY09)において発表をするべくプロポーザルを提出したが、残念ながら採択されなかった。しかし、Base Politicsの著者であるコロンビア大学のCooley准教授との面談を通し有益な情報や意見交換することができた。出版にはいたっていないが同様の研究を行っている研究者や、現在進行中のプロジェクトについての情報は大変有益だった。また直接的な研究成果ではないが、Embattled Garrisonsの書評が日本国際政治学会の英文機関誌International Telations of the Asia-Pacific, Vol.9, No.1(2009)に掲載された。
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