研究概要 |
平成21年度の研究は、米国における史料調査、先行研究の整理、平成19年から20年度に蓄積した史料の分析を中心に行った。本年度2月から3月にかけてテキサス州オースティンのジョンソン大統領図書館で行った史料調査、およびこれまでに収集した史料の分析の結果、アイゼンハワーからジョンソンにいたる歴代米国政府において、長期的な政策の変化と連続性の両方を確認できるように思われる。すなわち、1950年代から60年代にかけ、米国政府内には徐々に、ソ連との軍備管理協定を通じて西欧諸国による独自核兵器の開発を阻止しようとする政策が浸透していった。核兵器不拡散という東西軍備管理交渉には、西欧諸国に向けた政策という一面が確認できるのである。 さらに米国政府は、西欧同盟国、とくに西独の反発を緩和するために、さまざまな譲歩を行っていた。これらの譲歩は、西独と米国の同盟関係を維持し、ソ連やフランスの影響に対抗するために行われていた。研究対象となったすべての政権にういて、程度の差はあれ同じ限界が確認できることが、本研究の意義と考えられる。 現時点では、ジョンソン政権の政策に関する分析は途上にあり、更なる史料や先行研究の分析によって議論を精緻化する必要がある。アイゼンハワー・ケネディ政権間の連続性に着目したのが、"Eisenhower, Kennedy, and the 'Fifth-Country' Problem"である。さらに現在、学会誌への発表を目指して研究を継続している。
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